2015年9月26日土曜日

大学教授になりたかった

 僕は大学教授になりたかった。芸術家になる道は、芸術には無縁の人種であるくせにある日突然、奇妙な妄想体系にとり憑かれて自分を芸術家だと思い込んでしまったユング派の連中によって閉ざされている。それならば、その次になりたいのは何かと考えたら、大学教授だった。どうせ無能教授にしかなれないだろうが。しかし、大学教授になったとしても、三箇月さえもつかどうか分からない。無能教授の古狸のところに日参しなければならないのである。そして、心にもないお世辞を言わなければならない。これは、とても耐えられないと思った。
 しかも、大学の監督機関は文部科学省ではないか。これでは敵地に単身、乗りこんでいくようなものである。集中砲火を浴びて、あっさりとお陀仏になってしまう。