2014年12月26日金曜日

“Ave Maria”の補足

“Ave Maria”の補足

 “Ave Maria”(http://gorom2.blogspot.com/2014/12/ave-maria.html)で、カッチーニのアヴェ・マリア(Caccini Ave Maria)とヴィヴァルディ(Vivaldi)の音楽との関連性について書いたが、これは、もちろんメロディが似ているとか盗作とかという問題とは関係ない。“Ave Maria”を聞いていたときに、どうした訳か“Vivaldi”の横顔がちらりと見えただけである。
 芸術家は、彼以前の偉大な芸術家の作品を咀嚼し反芻し、自分のものにする。その偉大な先人のひとりが“Vivaldi”だったのではないかと考えたわけである。そのような経験を積み重ねることによって、自分なりのスタイル(style)を確立するのである。ユング派(Jungian)のように、集合的無意識(collective unconscious)とか元型(archetype)のような妙な観念にとり憑かれて、ある日突然、芸術に無縁な者が、何の芸術の素養もないものが“芸術家”に変身する、芸術好きになるなどということはありえないことである。彼らの芸術へ嗜好は偽物である。人間としても偽者である。気持ちの悪いやつらだ。彼らが人間の社会に存在することさえ厭わしい。
                                                           (September 25, 2014)